オフィス移転で退職を考えたら|新しい通勤条件を比べるチェックポイント

オフィス移転で退職を考えている人のイラスト 転職

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オフィス移転で通勤や家庭生活が成り立たなくなるなら、退職を検討するのは不自然ではありません。ただし、移転の発表だけで退職を決めるのではなく、新しい勤務地と開始日、出社頻度、通勤手当、在宅・時差勤務などの代替案を確認してから判断します。

この記事では、移転前後の差を数字にし、会社へ確認し、残る・条件を調整する・転職する順番を整理します。

最初に結論|移転前後の「生活の差」を確認してから決める

判断の起点は、新オフィスが遠いかどうかだけではありません。片道の通勤時間が増えると、送迎、介護、睡眠、家事に使える時間も同時に減ります。

まず、次の4点を移転前後で比べてください。

比較するもの現在移転後判断に使う差
ドア・ツー・ドアの通勤時間、乗換え、混雑同じ条件で試算1日・1週間で増える時間
通勤費と自己負担定期代、駐輪場等新経路の費用会社負担の上限を超える額
家庭の固定時刻送迎、介護、夕食等到着可能時刻間に合わない曜日・回数
働き方出社日、始終業時刻移転後の運用調整で解消できる部分

移転後も生活が成立するなら、退職を急ぐ必要はありません。差が大きくても、在宅勤務、時差出勤、出社日の調整、勤務地変更などで解消できるなら、まず会社へ相談する余地があります。

一方、会社の回答を踏まえても送迎や介護の固定時刻に間に合わず、睡眠や健康を継続的に削らないと働けないなら、在職中の転職準備へ進む合理性があります。

退職を伝える前に、移転条件を確定する

発表直後は、移転先の住所だけが決まり、勤務開始日や出社頻度が未確定な場合があります。未確定条件を最悪の想定で埋めると、必要以上に焦ってしまいます。

会社へ次の内容を確認してください。

  • 新オフィスの住所と、そこで勤務を始める日
  • 配属先ごとの出社頻度と、全員一律かどうか
  • 始業・終業時刻、フレックス、時差出勤の利用条件
  • 在宅勤務、サテライト勤務、別拠点勤務の可否
  • 通勤経路の申請方法と、通勤手当の上限
  • 移転に伴う一時的な経過措置があるか
  • 個別事情を相談する窓口と回答期限

口頭説明だけでなく、社内通知、就業規則、労働条件通知書、雇用契約書など、後から確認できる資料を保存します。

労働条件の「就業場所」と変更範囲を見る

厚生労働省の労働条件明示ルールでは、2024年4月から、労働契約の締結時などに就業場所と業務の「変更の範囲」を明示することが案内されています。現在の契約書や労働条件通知書に、就業場所がどのように記載されているか確認してください。

厚生労働省の勤務地限定に関するQ&Aも示すように、勤務地が限定されているのか、複数拠点や会社の定める場所まで含むのかで、会社へ確認すべき内容が変わります。ただし、契約書の一文だけで移転の有効性を自己判断するのは避けてください。勤務地の範囲、就業規則、会社の説明、本人が受ける不利益などを合わせて見る必要があります。

説明と契約内容が食い違う、著しい不利益がある、会社が相談に応じないなどの問題がある場合は、厚生労働省の総合労働相談コーナーなどへ相談できます。

新しい通勤を「通常日」と「崩れる日」で試算する

経路検索の最短時間だけでは、生活が続くか判断できません。自宅を出てから席に着くまでと、退勤してから自宅や送迎先へ着くまでを試算します。

通常日に確認すること

  • 自宅から駅、駅からオフィスまでの徒歩時間
  • 乗換え、混雑、待ち時間を含む所要時間
  • 定時退勤した場合の帰宅・送迎時刻
  • 週の出社回数を掛けた総通勤時間
  • 通勤費、駐輪場、延長保育などの追加費用

崩れる日に確認すること

  • 電車が遅れた日でも送迎に間に合うか
  • 残業や終業直前の連絡があった場合に誰が対応するか
  • 子どもの呼び出しや家族の介護連絡に何分で動けるか
  • 悪天候や繁忙期にも同じ出社頻度を続けられるか

通常日だけ成立し、少しの遅延や残業で毎回誰かに負担が集中する計画は、長期的には不安定です。「片道何分なら耐えられるか」ではなく、固定時刻を守りながら週単位で続けられるかを見ます。

育児との両立が中心課題なら、育休復帰後に辞める前に確認する順番も参考にしてください。

会社へは、困りごとと代替案を分けて伝える

「遠くなるので困る」だけでは、会社も対応を決めにくいことがあります。事実、継続できない条件、希望する代替案を分けて伝えます。

  1. 移転前後の通勤時間・費用の差
  2. 送迎や介護など動かせない時刻
  3. 家庭側ですでに検討した調整
  4. 継続に必要な働き方
  5. いつまでに回答が必要か

たとえば、「移転後は週3日の出社で迎えに間に合わない。週2日の在宅勤務か、始業・終業を1時間早める運用が可能か、○日までに確認したい」と伝えると、判断材料が明確になります。

候補となる調整は、次のとおりです。

  • 在宅勤務や出社日の削減
  • 時差出勤、フレックス、短時間勤務
  • 別拠点やサテライトオフィスの利用
  • 出社が必要な業務や会議の曜日固定
  • 一定期間の経過措置
  • 通勤手当や転居費用の扱い
  • 別部署・別勤務地への異動

会社がすべてに応じるとは限りません。大切なのは、利用できる選択肢、対象条件、開始時期、期限を具体化することです。

出社頻度の増加が主な問題なら、出社回帰後に残る・交渉する・異動する判断方法で、勤務場所の変更と働き方の変更を分けて整理できます。

移転日から逆算して、3つの期限を置く

オフィス移転は開始日が決まっているため、期限のない様子見には向きません。次の3つの日付を置きます。

期限その日までに決めること
会社への確認期限新勤務地、出社頻度、手当、代替案を確認する
自分の判断期限残る、条件付きで残る、転職準備へ進むを決める
移転開始日新しい通勤と生活を実際に始める日

転職する可能性があるなら、移転開始日の直前まで待たず、会社へ確認しながら在職中に求人条件を見始める方法があります。応募を始めることと、退職を決めることは同じではありません。

退職前と退職後のどちらで転職活動を始めるかも確認し、収入が途切れる期間を避けられるか検討してください。

残る・調整する・転職するを会社の回答で分ける

現職を続けやすい状態

  • 新しい通勤を含めても睡眠や家庭の固定時刻を守れる
  • 通勤費の増加が会社制度でカバーされる
  • 出社頻度と業務内容が明確で、継続可能と判断できる
  • 一時的な不便で、移転後に改善する見通しがある

この場合は、退職を急がず、移転後の実績を確認してもよいでしょう。

条件調整が有効な状態

  • 週の一部だけ通勤が成立しない
  • 特定曜日や始終業時刻を変えれば続けられる
  • 出社が必要な業務をまとめられる
  • 別拠点や在宅勤務で物理的な問題を減らせる

この場合は、調整内容、開始日、試行期間、見直し日を書面で確認します。

転職準備へ進む合理性がある状態

  • 会社の確定条件では、送迎・介護などの固定時刻を守れない
  • 毎日の睡眠や健康を削らないと通勤できない
  • 会社が利用可能な代替案を示さない、または回答期限がない
  • 勤務地や働き方が今後も生活条件と合わない
  • 転居を含めても家族全体への負担が大きい

この場合は、退職日を先に決めるより、次の求人で譲れない勤務地、出社頻度、始終業時刻、通勤上限を決めます。

個人への転勤命令が問題なら、転勤したくないときの確認・交渉・転職の考え方を確認してください。会社全体の移転と個人への転勤では、会社へ確認する根拠と選択肢が異なります。

退職する場合は、離職理由を自分だけで決めつけない

ハローワークの案内は、特定受給資格者の範囲として「事業所の移転により、通勤することが困難となったため離職した者」を挙げています。また、特定理由離職者の範囲にも、事業所が通勤困難な地へ移転したことにより通勤が困難になった場合が示されています。

ただし、オフィスが移転しただけで、すべての退職が自動的に同じ扱いになるわけではありません。最終的な離職理由は個別事情と資料をもとにハローワークが判断します。

退職前後には、次の資料を保管してください。

  • オフィス移転の通知と新旧所在地
  • 移転開始日が分かる資料
  • 新旧の通勤経路、時間、費用
  • 会社へ相談した内容と回答
  • 在宅勤務や時差勤務などの提示内容
  • 離職票に記載された離職理由

離職票の記載と認識が異なる場合や、どの資料が必要か分からない場合は、管轄のハローワークへ確認します。

リモート正社員への転職を具体化した人へ

会社へ勤務条件と代替案を確認しても通勤と生活が成立せず、現在正社員として働きながら、営業、カスタマーサクセス、マーケティング、事務などのビジネス職でリモートワーク可能な正社員求人を具体的に比較したい人は、Remofulへ相談する方法があります。

すべての人に合うサービスではありません。支援対象や紹介可能な求人は、年齢、年収、職種経験、就業状況、転職意思などによって異なります。申込み前に公式ページで最新条件を確認してください。

現職の調整余地が残っている人や、まだ転職するか決めていない人は、先に会社の回答と生活への影響を整理してください。

まとめ|住所ではなく、毎日の生活が成立するかで決める

オフィス移転を理由に退職するかは、移転先の遠さだけで決めません。

  1. 移転先、開始日、出社頻度、手当を確定する
  2. 新旧の通勤時間・費用と家庭の固定時刻を比べる
  3. 契約書等の就業場所と変更範囲を確認する
  4. 在宅、時差勤務、別拠点などの代替案を会社へ相談する
  5. 会社の回答と移転日から、残る・調整する・転職するを決める

移転は日付が決まった出来事です。回答のないまま我慢を続けず、確認期限と自分の判断期限を置いてください。

参考・出典

山本 裕也(やまもと ひろや)
この記事を書いた人

中堅の一般企業で10年以上、採用・教育に従事。新人研修や社内相談窓口も担当していました。現在は、採用コンテンツを中心としたライター・編集ディレクターとして活動しており、累計300本以上の転職・キャリア系記事を執筆・監修しています。

また自分自身も2度の転職を経験。つらさや迷いを抱えながら働いていた時期もありました。だからこそ、今「正直つらいな」と感じている方に、無理せず「自分らしい働き方」を見つけるヒントをお届けし、理想の人生に向かって一歩踏み出すサポートをしたいと思っています。

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