やりがいはあるものの、不規則な勤務時間、休みの取りづらさ、クレーム対応による精神的負担。ホテルや旅館で働く中で「このままの生活を続けられるのか」と不安を感じることはありませんか?
一方で、比較的規則正しい働き方ができ、長期的に続けやすいイメージのある事務職に魅力を感じる人は少なくありません。ただ事務職は人気が高く、未経験からの転職は簡単ではないのも事実です。
そこで本記事では、宿泊業から事務職へ未経験で転職するために押さえておくべき準備・ポイントを、業界経験者や転職支援の視点から詳しく解説します。さらに、事務職転職を成功させるために活用できる具体策も紹介します。
宿泊業から事務職へ転職を考える人が多い理由
旅館やホテル業界で働く人が事務職へ関心を持つ背景には、共通した理由がいくつもあります。ここではその代表的なものを整理します。
宿泊業の現場で感じる辛さ
宿泊業はやりがいのある仕事ですが、長く続けるうえで次のような負担が積み重なります。
- 体力面の限界
立ち仕事や重い荷物の運搬、深夜や早朝のシフトが日常的にあるため、体力の消耗が大きくなります。特に繁忙期は休憩時間も取りづらく、慢性的な疲労が蓄積します。 - 精神面の負担
クレーム対応や急な変更への対応など、常に神経を使う場面が多く、メンタル面でのストレスが高くなりがちです。 - 将来設計のしづらさ
生活リズムが安定しにくく、家庭やプライベートとの両立が難しい場合があります。そのため、将来的なライフプランを立てにくいという悩みが出てきます。 - 人間関係の厳しさ
宿泊業界は「おもてなし」の質を守るため、マナーや言葉遣いに厳しい文化があります。そのため、上下関係を特に重んじる場合があり、いわゆる体育会系の雰囲気を感じる職場も少なくありません。配属先や上司との相性によっては、人間関係のストレスが日々の業務に影響することもあるでしょう。
筆者の前職でもホテル業界から転職してきた方が複数名いました。理由として「企業体制の変化」「体力面の限界」「上下関係のストレス」を挙げていました。
事務職が「安定職」に見える理由
事務職は、宿泊業と比べて次のような点で安定感があると感じられます。
- 規則的な勤務時間
土日休みや定時退社が可能な企業も多く、生活リズムが整いやすいです。 - クレーム対応が少ない
社内業務が中心となり、宿泊業のような顧客対応ストレスは比較的少なくなります。 - 長期的なキャリア形成がしやすい
体力面の負担が軽く、定年まで働きやすい環境を選びやすいです。
知っておくべき前提「事務職はやはり人気職」
事務職は人気が高く、競争率の高い職種です。厚生労働省が定期公開している一般職業紹介状況によると、事務従事者(事務職)の有効求人倍率は0.39であり、職業全体平均1.17と比べてかなり低い水準となっています。
有効求人倍率とは「1人に対して何件の求人があるか」を表す指標で、この数値が低いほど倍率が高く、競争が激しいということです。
つまり事務職は、他職種に比べて「なりたい人に対して募集件数が少ない」ため、戦略的に動く必要があります。
人気の高い事務職だからこそ、宿泊業で培ったスキルや経験を「どう強みに変えるか」がカギになります。
参考:
一般職業紹介状況(令和7年6月分)|厚生労働省
一般職業紹介状況(令和7年6月分)参考統計表|厚生労働省
宿泊業で培った経験は事務職でも活かせる
宿泊業から事務職へ転職する場合、「自分は事務経験がない」と不安になる方は多いでしょう。しかし、実は宿泊業で身につくスキルは事務職でも高く評価されるものが数多くあります。
接客スキルは社内外のコミュニケーションに直結
宿泊業では、国内外のお客様への接客を通して、相手の立場や状況に合わせたコミュニケーション力を磨くことができます。この能力は、事務職における社内調整や取引先とのやり取りで大きな強みになります。
実際、筆者の前職にいたホテル業界出身の事務員は電話対応や来客応対は素晴らしく、他部署社員や役員も「安心して任せられる」「自社のイメージが高まる」と大絶賛でした。
クレーム対応力はトラブル解決の武器になる
ホテルや旅館では、時に予期せぬトラブルやお客様からの要望に即対応しなければならない場面があります。冷静さと臨機応変な判断力は、社内の問題解決やクレーム処理業務においても役立ちます。
マルチタスク・臨機応変な対応力は業務効率化に役立つ
宿泊業では、複数の業務を同時に進めるマルチタスク能力が求められます。例えば、チェックイン対応をしながら電話対応を行い、さらにバックオフィス業務を進めることもあります。こうした経験は、事務職におけるスケジュール管理や優先順位付けに活かせます。
語学スキルがある場合の事務職での評価ポイント
外国人観光客対応で培った語学力は、英文メール対応や海外取引のサポートなどに直結します。特に英語や中国語は、海外と関わる企業での事務職求人で評価されやすいポイントです。
未経験から事務職へ転職するための準備
事務職は人気が高いため、採用されるためには計画的な準備が必要です。ここでは、未経験でも採用されやすくなるためのステップを解説します。
事務職に必要なスキル・資格
未経験から事務職を目指すなら、まず基礎的なスキルを身につけておくことが重要です。
- PCスキル
WordやExcel、PowerPointなどの基本操作は必須です。特にExcelの関数や表作成、簡単な集計は日常的に使われます。 - ビジネスマナー
社内外とのメールや電話対応、来客対応など、社会人としての基本マナーが求められます。 - 資格取得の検討
日商簿記3級、MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)などはスキル証明として有効です。
自己分析で強みを明確化する
宿泊業で得たスキルや経験を整理し、「事務職でどう活かせるか」を言語化しておきましょう。
例:
クレーム対応力 → 社内外のトラブル調整能力
マルチタスク能力 → 複数案件の同時進行スキル
ビジネスマナー・来客応対力・電話応対力→そのまま応用可能
転職市場での「未経験歓迎」求人の探し方
- 求人サイトのフィルター機能を活用
「未経験歓迎」「研修制度あり」で絞り込む。 - 転職エージェントの利用
一般公開されていない非公開求人を紹介してもらえる場合があり、応募の選択肢が広がります。 - 業種にはこだわらない
事務職は幅広い業界で募集されているため、宿泊業に近い観光業界以外にも視野を広げると可能性が広がります。
未経験での応募は数をこなすだけではなく、自分の強みを企業側のメリットに変換してアピールできるかどうかが採用の分かれ目です。
宿泊業から事務職への転職を成功させる転職支援サービス活用法
宿泊業から事務職への転職を考える際、自己応募だけでなく転職支援サービスを活用することで成功率が大きく高まります。特に、未経験からの事務職は競争率が高く、応募書類や面接での差別化が必要です。
転職支援サービスを使うメリット
- 非公開求人へのアクセス
求人サイトには掲載されない企業案件に出会える可能性があります。 - 応募企業ごとの面接対策
企業ごとの傾向や質問内容を事前に教えてもらえるため、準備の精度が上がります。 - 職務経歴書のブラッシュアップ
宿泊業の経験を事務職向けに言い換えるアドバイスが受けられます。
未経験から事務職への転職に強い「Backup Career」
事務職やバックオフィス職に特化したオンライン転職支援サービスです。未経験者向けのサポート体制が充実しており、宿泊業からのキャリアチェンジにも対応しています。
Backup Careerの特徴
- 「未経験からのバックオフィス(事務職)特化」のため最適
- サービス満足度口コミ評価:星4.3
- 入社後の定着率:93.5%
- 求職者は無料で全サービス・全サポートを利用可能
- 完全オンライン対応で全国利用可能
- 求職者の希望や価値観に合わない求人は紹介しない方針
- ブラック企業は徹底排除した求人紹介
- 「仕事適性診断」で強みや適性を可視化
- 書類作成・面接対策をマンツーマンでサポート
こんな方におすすめ
- 未経験で事務職に挑戦したい
- 本業が忙しいため、効率的に転職を成功させたい
- 面接や書類作成に自信がない
無料相談で「人生を変える一歩目」を
「まず何をすべきか分からない」「失敗や遠回りなく堅実・着実に進めたい」「始めたいけど一歩目が踏み出せない」という場合は、まずは無料のキャリア相談を活用しましょう。
オンライン面談なら自宅から気軽に参加でき、スケジュールの調整もしやすいのが魅力です。事務職に特化した支援サービスを味方につけて、理想の転職へ向けたスタートを切りましょう。

未経験から事務職を目指すなら、事前の情報収集と計画的な行動が重要です。転職支援のサポートを活用すれば、迷いや不安を減らしながら、内定までの道のりをスムーズに進められます。
事務職転職後にキャリアアップするために
事務職は安定して長く働けるイメージがありますが、ただ在籍するだけではキャリアの幅は広がりません。せっかく転職したなら、数年後の自分の市場価値を高める動きを意識しましょう。
業務改善スキルを磨く
単なるルーティン業務だけでなく、効率化や改善提案ができると評価が高まります。Excelマクロや業務フロー改善などの経験は将来的に大きな武器になります。
専門性を持った事務職を目指す
経理、人事、総務、貿易事務など、専門分野に進むことで給与水準やキャリアの安定度が高まります。未経験で入った場合でも、数年後を見据えて専門スキルを習得するのが理想です。
資格で信頼性を高める
たとえば、以下のような資格が挙げられます。
- 日商簿記(経理系事務向け)
- 社会保険労務士(人事労務向け)
- TOEIC(海外取引や外資系向け)
なお「転職は資格を取得してから転職」と考えるケースも散見されますが、転職のタイミングを逃してしまう可能性があることを理解しておきましょう。資格勉強は半年から1年以上かかる場合もあり、その間に求人状況や自分のライフステージが変わってしまうことも少なくありません。
特に人気の事務職は、有効求人倍率が低く競争が激しいため、「準備が整ってから」と構えていると、希望条件に合う案件が減ってしまうリスクがあります。
入社後に働きながら取得することも可能であり、むしろ実務経験と並行して学ぶことで、知識が定着しやすくなります。応募や面接時には資格取得予定や勉強中である旨を伝えると良いでしょう。
社内外の人脈を活かす
事務職は人との関わりが少ないイメージがありますが、部署間の調整や外部とのやり取りで信頼を築けば、新しいポジションや役割を任される可能性が広がります。
まとめ:宿泊業から事務職への一歩を踏み出そう
- 宿泊業から事務職への転職は「環境面・働き方の改善」を実現できる可能性が高い
- 事務職は人気が高く、求人倍率が低いことを理解したうえで準備する
- 自己分析と業務スキルの棚卸しが成功のカギ
- 事務職に強い転職支援サービスを活用すれば、未経験でも戦略的に挑戦できる
- 転職後も専門性・効率化スキルを磨き、キャリアを長期的に形成する
環境を変えることは勇気がいりますが、体力的にも精神的にも安心して続けられる仕事を選ぶことは、長く働き続けるためにとても大切です。筆者が見てきたホテル業界から転職した方も、数年後には安定した生活と新しいやりがいを手にしていました(今も勤続されています)。
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